海外FXで取引した場合の税金は?節税方法や確定申告についても解説

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海外FXで得た利益は申告しよう

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海外FXなら日本の確定申告は必要ない?

海外FX業者は、国内業者にはない魅力がたくさんあります。

レバレッジの最大倍率の制限がないためハイレバレッジでのトレードが可能で、豪華なボーナスを利用してハイレバトレードを楽しむ日本人トレーダーも多いかと思います。

そんな中で気になるのが、海外FXで得た利益に対して日本で税金を払う必要があるのかどうか。

日本の金融庁の許可を受けていない海外FX業者での事なので、税金を払う必要はないと勘違いしている人もいるようです。

結論から言ってしまえば、海外FX業者を利用した利益でも確定申告を行って納税する義務があります。

日本に住んでいる以上は、海外FX業者だからといって税金を収めなくて良い理由にはなりません。

もしも確定申告しなかったら・・・

申告しなかった場合は申告漏れで、いわゆる脱税にあたります。

本当に少額であれば見逃されるケースもありますが、大きな金額になればなるほど税務署はしっかりと調査してきます。

指摘されてしまえば、不足分の税金を納めるだけでなく、追加で「延滞税」や「無申告加算税」を支払う必要が出てきます。

<延滞税>

  • 納期限の翌日から2か月まで・・・原則として年「7.3パーセント」
  • 納期限の翌日から2か月以降・・・原則として年「14.6パーセント」

 

<無申告加算税>

  • 納付すべき税金50万円まで・・・15%
  • 納付すべき税金50万円を超える部分・・・20%
  • ※税務署から指摘される前に、自主的に納付した場合は5%に軽減

 
さらに、非常に稀ですが内容の仮想や隠ぺいなど悪質と判断された場合、最も重いペナルティ「重加算税」がかかる場合もあります。

つまり、申告をしないと余計な税金がかかってくるということ。そのため、しっかりと申告することが大切です。

申告漏れがあったら速やかに対応を

税務署の調査はすぐにされずに、数年後になってからさかのぼって行われる事も多いので、その場合は「延滞税」もかなり加算されることが予想されます。

また、わざと所得を隠していたわけではなくても、海外のFXを年始に少しだけ利用して利益を出していたケースなどでは、うっかり忘れなども考えられます。

確定申告の書類を提出したあとでも、3月15日までの提出期間内であれば再度書類を作成して提出すれば修正することが可能です。

提出期限を過ぎてから気づいた場合には、修正する手続きが必要になりますし、その際にやはり追加で収めなければならないお金が発生してしまいます。

ただ、年数が過ぎれば過ぎるほど納める額が大きくなるので、万が一申告漏れがあった場合には速やかに対応するべきでしょう。

確定申告について

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海外FXの利益も確定申告を行って納税しなくてはならないことは分かったかと思います。

では、そもそも確定申告とは何なのか。また、実は海外FXで利益が出ていても確定申告が必要ある人とない人がいますので、その説明をしていきましょう。

確定申告とは?どういった場合に申告が必要?

確定申告とは、毎年1月1日から12月31日の1年間で得た収入を計算して報告するものです。

申告に必要な書類を作成して、税務署に提出すると所得税の金額が計算できます。

先にも説明してあるますが、海外FXによる利益ももちろん課税対象となるので、しっかりと申告する義務があります。

確定申告が必要な人、不必要な人

ところが、FXで利益を得ていても確定申告が必要ない場合もあります。

例えば給与所得者の場合は、FXの利益が年間で20万円を超えると確定申告が必要になってきます。

ちなみに、今回はFXの利益を前提として話をしてますが、本来は給与以外の所得が20万円以上になったら・・・という意味になります。

アフィリエイトや株式取引、不動産の収入、副業としてのアルバイトなども対象で、すべてを合算して20万円を超える場合には確定申告が必要になります。

専業主婦などで収入がない非給与所得者の場合には、年間で38万円を超えた場合に確定申告が必要になってきます。

<確定申告は必要な人>

  • 給与所得者・・・利益が20万円以上→必要あり
  • 非給与所得者・・・利益が38万円以上→必要あり

 
これ以外にも細かなルールはありますが、基本的には働いている場合は20万円以上、働いていない場合は38万円以上の利益が出た場合には確定申告が必要だと覚えておけば問題ありません。

これ以下の利益の場合は、確定申告そのものが必要ありません。

確定申告は難しくない

確定申告と言うと非常に難しそうに感じるかもしれませんが、現在は非常に利用しやすい会計ソフトなどが多数登場しています。

必要なデータを入力していくだけで、提出用の書類が印刷できる状態になりますから、非常に手軽に確定申告を済ませることが可能です。

また、国税庁のサイトには「確定申告書等作成コーナー」があり、こちらも必要なデータを打ち込んでいくだけで申告すべき書類が完成するので簡単です。

マイナンバーカードの取得とICカードリーダライタの購入は必要になりますが、そのままe-Taxで送信することもでき、わざわざ郵送する手間も省けます。

後ほど、確定申告に必要な書類や具体的な作成方法を紹介していきます。
 

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確定申告に必要な書類と作成方法

国内FXと海外FXの税制

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FXでの利益は確定申告する必要がありますが、実は国内と海外の業者では税制上の違いがあります。

この章では、税制上どういった違いがあるのかを解説していきます。

<海外FXと国内FXの税制の違い>

 海外FX国内FX
課税方法総合課税分離課税
税率利益に応じて変化する累進課税20%の固定
(2037年までは復興特別所得税が加わり20.315%)
損失繰越不可最大3年間の繰り越しが可

国内FX

まず、国内のFXで利益を出した場合は雑所得の申告で分離課税になります。

分離課税とは他の収入とは分けて税金を計算するものになり、金額問わず一律で20%の税金がかかってきます。

損益繰越は3年となっているので、FXで損をしてしまった場合に翌年の利益と相殺するような事が可能になります。

海外FX

一方で海外FXの業者で利益を出した場合は、同じ雑所得でも総合課税という区分になってきます。

総合課税では税率が累進課税のため、利益がどれだけ出たかによって税率が変わってきます。

少額の利益であればこちらの方が税率は低くなりますが、利益が大きくなると逆転し、最終的には利益の半分近くが税金となってしまいます。

また、総合課税では損益繰越ができないという部分でも不利と言えます。

気になる総合課税の税率ですが、195万超~330万以下だと20%ですから、ここまではほとんど変化はありません。

<所得税の累進課税率一覧>

課税される所得金額税率控除額住民税
1,000円~194万9,000円5%0円10%
195万円~329万9,000円10%9万7,500円10%
330万円~694万9,000円20%42万7,500円10%
695万円~899万9,000円23%63万6,000円10%
900万円~1,799万9,000円33%153万6,000円10%
1,800万円~3,999万9,000円40%279万6,000円10%
4,000万円以上45%479万6,000円10%

厳密には少しだけ総合課税の方が低くなるのですが、大きな差ではないのでここでは割愛します。

195万円以下の場合は15%ですから明確に税金が安くなります。最大は4000万超の税率55%で非常に高いことがわかります。

海外FXで一攫千金に成功したとしても、税金で半分以上を持って行かれてしまうわけです。

国内業者と海外業者は分けて考える

また、ここで注意しておきたいのが、国内のFXと海外のFXでは利益を完全に別物として捉える必要があるという点です。

税制上の区分が違いますから、一方で利益が出て一方で損益が出たとしても合算して考えることはできません。

例えば海外FXで大きく稼いだけれど税率が高いので、国内FXでマイナスになった分と相殺するといった計算はできないのです。

トレードしている感覚としては、利用している口座が違うだけですし、通貨ペアなども似たようなものを扱う事が多いでしょうから、税制による区分が違うというのは不思議に感じるかもしれません。

ちなみにですが、損益の通算は「総合課税」同士や「分離課税」同士なら問題なく行えます。

つまり、海外FX業者を複数利用しているケースなどでは海外FX同士であれば損益通算でき
、国内FX同士でも同様ということです。

節税方法

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せっかく得た利益も税金を納めなくてはならないのであれば、できるだけ金額を抑えたいですよね。

そこで、次に気になるのが節税についてではないでしょうか。

この章ではFXにおける節税方法について解説していきます。

経費

まず、最も簡単な節税方法は「経費」を計上することです。

経費とはつまり、利益を得るために必要なお金のことで、FXにおいては下記が経費として考えられます。

取引に使用するパソコン代/勉強に必要な書籍代/セミナーなどに参加するための費用/プロバイダの費用や電気代の一部など

 
もちろん全く関係ない買い物を経費として計上することは認められませんが、少しでも関係ありそうなものは経費にできるように準備しておく必要があります。

関係ありそうなものを購入した際などは、領収書をとっておきましょう。

ボーナスを利用する

次に少し複雑な節税方法として、海外FX業者のボーナスを利用する方法が考えられます。

例えば口座を開設した時や入金時にボーナスが付くことがありますが、海外の業者の場合だとボーナスを現金として引き出すことが出来ないケースがほとんどです。

つまり、取引にのみ利用できるポイントのような扱いになり、ボーナスはFXによる利益とはなりません。

一方でトレードを行ってボーナス分の損益が出た場合、元手は減っていませんから実際には損をしていませんが、取引上はボーナス分の損益が記録されます。

この損益は有効になりますから、例えば他にも海外の口座を作成して利益が出ていた場合、そちらの利益と損益通算をすることが可能になります。

ボーナスで得たポイントを損とみなして損益通算しているわけですから、実際には損をしていないのに利益を数字上で減らすことに成功しているのです。

数字上の利益が減れば最終的な税金も減りますから節税となります。

この方法はグレーゾーンのように感じるかもしれませんが、いわゆるポイントカードのポイントのようなものですから特に問題ないと言えます。

ポイントカードのポイントを確定申告せずに問題が起きていないのと同じようなものと理解すれば良いでしょう。

ただし、国内のFX業者が行っているボーナスのように現金としてそのまま引き出すことができるケースでは収益となってしまうため注意が必要です。

確定申告に必要な書類と書き方

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では、実際に確定申告をするのはどうすれば良いでしょうか。

この章では、確定申告に必要な書類や作成方法について紹介していきます。

確定申告に必要なもの

作成が必要な書類

申告には以下のような書類が必要になります。

 1、申告書B(第一表、第二表)

 2、申告書第三表(※分離課税用)

 3、先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書

 4、所得税の確定申告書付表(※先物取引に係る繰越損失用)

1、「申告書B(第一表、第二表)」は、収入や控除の詳しい内訳を記入する書類です。

2、「申告書第三表」は、分離課税用で国内FXの場合に必要になります。

3、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」は、先物取引に係る、事業所得・譲渡所得・雑所得の確定申告時に使用。

4、「所得税の確定申告書付表」は、損失を繰り越したい時用の書類なので、損失繰越が可能な国内FXの場合に必要になります。

用意しておく書類

また、申告書の作成時に用意しておくべき書類が以下のものです。

 1、年間取引報告書(年間損益報告書)

 2、給与所得の源泉徴収票

1、「年間取引報告書(年間損益報告書)」は、平成31年度税制改正により添付は不要になりましたが、「年間取引報告書」を基に申告書を作成するため用意しておきましょう。FX業者のやMT4などから簡単にダウンロードできます。

2、確定申告はすべての収支を報告しなくてはならないため、給料所得者は「源泉徴収票」が必要になります。こちらは給料を支払う会社で発行してもらえます。

確定申告用書類の作成方法

確定申告用の書類の作成方法を紹介していきます。

国内FXと海外FXで書き方が違うので、最初に国内FXから記載していきます。

国内FXの場合

1、「申告書B(第一表、第二表)」

まずは「申告書B」を作成していきます。

用紙の左側「収入金額等」「所得金額」「所得から差し引かれる金額」の欄を埋めます。
「源泉徴収票」を見ながら記入すれば簡単に埋めることができるでしょう。

2、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」

次に、「先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書」の作成に移ります。

雑所得用のところに印をつけて氏名を記入し、種類を「外国為替取引」決済の方法を「仕切」と記入します。
総収入金額は「差金等決済に係る利益又は損失の額」の部分に、「年間取引報告書(年間損益報告書)」を元に記入していきます。
(2)(3)の欄は該当するものがあれば記入し、(4)は計算して埋めれば大丈夫です。

「その他の経費」の欄には、前述した「経費」があれば記入。
そして、「総収入金額」の欄に収益-経費の金額を埋めます。

3、「申告書第三表(分離課税用)」

次に、「申告書第三表(分離課税用)」を用意します。

こちらは先物取引に係る雑所得等の金額の計算明細書を見ながら記入していけば特に問題ありません。

収入金額の「先物取引」に先ほどのFXによる「総収入金額計」を記入します。
更に所得金額の「先物取引」には「所得金額」を記入します。

次に税金の計算で「総合課税の合計額」「所得金額」を埋めます。
(75)「(67)対応分」の欄には(67)「先物取引」の数字を当てはめます。
(78)「(70)対応分」国税庁ホームページに計算方法が記載されているので参考にして埋めていきます。
次に「(75)対応分」は(75)に所得税の15%をかけた数値を記入、(86)には(78)~(85)の合計を記入することになります。

ここまでできたら、「申告書B(第一表)」に戻って右側の記入を進めます。

(27)に申告書第三表(分離課税用)の(86)を記入し、(41)復興特別所得税の欄には所得税を計算したあとの申告書第三表(分離課税用)(86)に2.1%かけた値を記入します。

およそこれで国内FXでの利益を申告することができるはずです。

海外FXの場合

1、「申告書B(第一表、第二表)」

次に海外FXを利用していた場合ですが、「確定申告書B(第一表)」に収入(FXの利益)と所得(利益から経費を引いたもの)をそれぞれ記入していきます。

続いて「確定申告書B(第二表)」に詳細を記入していきましょう。

内訳の欄の所得の種類には「雑」と書いておき、続いて業者の正式名と収入そして源泉徴収0と記入していきます。

そのまま下に向かい、雑所得~に関する事項のところには、同じく「雑」と書いて、「上記のとおり」、利益、経費、その差し引いた額を記入していきます。

あとは通常の確定申告と同じで問題ありません。

確定申告はオンラインで楽々!

手書きで入力すると非常に手間ですが、先述した通り会計ソフトや国税庁のサイト「確定申告書等作成コーナー」を利用すればとても簡単です。

あらかじめ「1、年間取引報告書(年間損益報告書)」「2、給与所得の源泉徴収票」を用意しておけば、あとはそれを見ながら必要な個所を打ち込むだけ。

あとは自動で必要な部分を埋めていってくれますし、わざわざ印刷して郵送しなくても、作成後そのままオンラインで確定申告が行うこともできるのでおすすめです。